症状別アプローチ 圧迫骨折後

圧迫骨折後に対する【マッサージ・鍼灸・機能訓練を解説します】

公開日:2021年 5月20日
更新日:2021年 5月20日
ここでは圧迫骨折後について解説いたします。

圧迫骨折とは(病態)

簡単に言うと、、、

背骨が折れて(潰れて)しまった状態のことです。

《特徴は3つ》
1.胸腰移行部という、みぞおちの高さの背骨を中心に発生しやすい。

2.「骨粗しょう症」が背景にあった状態で、背骨に負担が(尻もちや重いものを持つなど)かかるなどをきっかけ発症することが多い。

3.骨粗しょう症がひどいと、きっかけもなく「いつの間にか折れてた」がある。

代表的な症状

時期により様々な症状がでます。
具体的には下記の通りです。

《受傷から1〜2週間》
・折れた部分を中心に激しい痛み
・痛みが強く、動くことも困難(だけど、耐えながらゆ〜〜〜っくり動けないこともない)
・実は座っている方が痛みが落ち着くケースが多い(折れた骨の部分が密着するため)

《受傷から2〜6週間》
・2〜3週目あたりで痛みが落ち着いてくる
・安静にしていたことで、歩くのに必要な筋力が低下する。足首と、背骨を中心に関節が固まる

《受傷から6週間〜》
・痛みは殆ど無くなっている
歩くのに必要な筋力の低下が進んでいる▶転倒リスクが強い
足首と、背骨を中心に関節が固まる▶転倒リスクが強い

《受傷から6ヶ月〜数年》←鍼灸師・マッサージ師はこの段階で呼ばれることが多い
・背骨が折れた影響で、円背姿勢(背中が丸まる)となっている
顎と肩が前方に出てきて、股関節と膝関節もやや曲がった姿勢をとる
肩、腰、膝に負担がかかり、痛みや重だるさを訴えるケースがある

【POINT!】
転倒予防のメニューが継続出来ていない場合、受傷前よりも転倒リスクが高い状態で生活していることになるので結構リスク高めです。

なぜ背中が丸まると、肩・腰・膝に痛みや重だるさが出るのか?

背中が丸まっている状態を「円背(えんぱい)」と言います。
例えば、椅子から立ち上がる途中の姿勢(スクワットの途中のような)で、立ち続けたり、歩いている状態を想像すると、結構キツそうですよね。

背骨が折れた影響と、筋力不足で常に上記の姿勢でいることを余儀なくされていますから、このあたりに鍼灸師・マッサージ師の介入ポイントがありそうです。

原因

骨粗しょう症+運動不足です。
この2点の対策がバッチリであれば、圧迫骨折は十分に防いでいくことができます。

女性の方は閉経後20年間で骨量が20〜30%低下すると言われているので、圧迫骨折は女性にとって非常に身近な病気と言えます。

骨折部位の痛み自体は3週間程度で改善してきますが、骨粗しょう症と運動不足が改善していないケースが殆どです。

その証拠に、圧迫骨折を1回経験した方は、2回、3回と繰り返していきます。

肩・腰・膝の痛みは鍼灸やマッサージの介入で十分にとれますが、根本的には「運動習慣の形成」までできないと、症状は繰り返しますし、転倒リスクは高いままなので再度転倒し、また圧迫骨折をするか、今度は手首や太ももの骨を折るなどする可能性が高いです。

なぜ骨粗しょう症の薬を飲んでいるのに骨が潰れるのか?

・古くなった骨を壊して吸収していく「骨吸収」
・骨吸収した部分に、新しい骨が作られていく「骨形成」

骨は上記2つをバランス良く繰り返して、常に良い状態をキープしています。

しかし、骨吸収のスピードが速まり、骨形成が間に合わなくなっている状態が続き、骨がスカスカになっていきます。

骨が脆くなっているので、テリボンなどの骨粗しょう症に対するお薬が処方されているのですが、服用中も圧迫骨折のリスクは高いといえます。

お薬を服用している=骨が強い。ではなく、
お薬を服用している=スカスカの骨を元に戻していってる最中だからです。

また、骨形成には運動も強く関係しています。
運動(歩くなど、踵に体重がかかるものが良い)を行うと、骨を作ろうとする細胞が活性化し、骨形成が早まります。

つまり、圧迫骨折後の肩・腰・膝の痛みや重だるさの改善と合わせて、「踵に刺激が入る」ような簡単な運動を習慣にしてもらえるような対策が必要となっていきます。

治療方針

時期によって対応が変わります。
時期別の治療方針は以下の通りです。

 《受傷から1〜2週間》
・患部の固定
・患部の安静
・前かがみ動作の制限など、生活指導
・寝たままできる、筋力や関節可動域を維持する簡単な運動指導

《受傷から2〜6週間》
・患部の固定
・患部の安静
・生活動作での前かがみ動作の制限や、座る時の「ドスン」をさせない指導など
・座り姿勢、立った姿勢で行う運動指導
・固まった筋肉、関節の拡大

《受傷から6週間〜》
・座り姿勢、立った姿勢で行う運動を習慣にできるよう促す
・歩くのに必要な筋力の向上
・歩くのに必要なバランス力の向上
・固まった筋肉、関節の拡大

↑このあたりまでは入院していたり、通院頻度が保たれていると理学療法士さんなどに指導されていると思います。

↓ここからは、リハビリ師の介入程度やご利用者本人の気質で結構変わってきます。

《受傷から6ヶ月〜数年》
・座り姿勢、立った姿勢で行う運動を習慣にできるよう促す
・歩くのに必要な筋力の向上
・歩くのに必要なバランス力の向上
・固まった患部(背骨)、筋肉、関節の拡大
・円背姿勢から波及した各症状の改善

《補足》
1.患部が痛いときは指圧・マッサージではなく、撫で擦るような軽微刺激が主になります。
2.歩く筋力は、抗重力筋を中心に据えていき、筋出力の向上を目指します。
3.CS-30テストや、片脚立位テスト等で筋力の総合的な評価を行いますが、受傷から6ヶ月以上経過し、十分な骨癒合が得られている状態で実施します。

徒手検査

《徒手検査》※受傷から6ヶ月以降を想定します
・上肢、下肢の筋力テスト
・体幹と、骨盤底筋群の筋力テスト ※重要
・前方向へのバランス力テスト
・横方向へのバランス力テスト
・背骨の前後方向と、ひねり動作の可動域テスト ※重要
・股関節の柔軟性テスト

《用語説明》
徒手検査・・・関節がどれくらい動くか、特定の動作で痛みがでないか?体を実際に動かして評価をすることです。

治療時のチェック

・痛みの度合いチェック
・背骨の前後、ひねり動作の可動域チェック
(圧迫骨折に起因する姿勢性の痛みなどは、別途徒手検査)
※2〜3週間ごとにバランス力テスト

手技

・マッサージ、指圧(筋肉を緩める)
・ストレッチ(筋肉を伸ばす)
・モビライゼーション(関節を緩める)
・鍼灸(深部の筋肉を緩める)

これらを用いて、肩関節、背骨、股関節、膝関節、足首の柔軟性を出すことで固まった筋肉や関節可動域を拡大し、動作がスムーズにできるようにします。

胸の筋肉、背骨の筋肉、股関節の前面部がポイントです。

機能訓練

5つの場所を鍛えることで、症状の緩和、歩行機能の改善、バランス力の改善を目指します。
・背中(脊柱起立筋)
・お腹(腹直筋、腸腰筋)
・お尻(大殿筋、中殿筋)
・太もも(大腿四頭筋)
・ふくらはぎ(下腿三頭筋)

治療成果の指標

・前方へのバランス力(ファンクショナルリーチ)
前方向に対しての転倒リスク度を測定します。

・横方向へのバランス力(片脚立位)
横方向に対しての転倒リスク度を測定します。

・筋力テスト(CS-30)
体幹、下半身の筋力がどの程度発揮できるかどうか測定し、転倒リスク度を測定します。

・痛みの度合い(ペインスケール)
現在、どの程度の痛みが残っているかを記録していきます。

本人の訴えだけでなく、数字でしっかりと治療成果を追っていきますので、変化の良し悪しがはっきりと分かります。

以上、圧迫骨折後の対応方法でした。

圧迫骨折は一度起こすと、2回、3回と繰り返す可能性が高く、転倒を繰り返していく中で例えば太ももの骨(大腿骨頸部骨折)を骨折した場合、確実に日常生活動作は1段階下がると言われています。
寝たきりに近づいていってしまうので、圧迫骨折、侮るなかれ、、、。の代表格と思いますので、もし気になる方はお気軽にご相談ください。

そして実際には、年齢や認知症の有無、他の症状の有無、手術の有無などで、どの程度の治療を実施していくかは一人ひとり違います。

上記の対応をベースに、オーダーメイドの施術プランを組み立てますので、もし圧迫骨折後の症状でお悩みでしたら無料体験がオススメです。お気軽にお問い合わせください。

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