圧迫骨折のヒアリングのコツ

解説:え?圧迫骨折した?ヒアリングで見極めるコツ

「この間、尻もちをついてからまだちょっと腰が響くけど、しばらくしたら治るよね?」
「孫がきたので抱っこしたのだけど、背中に違和感あるのよね」
「部屋の掃除をして本を運んだけど、筋肉痛かしら、お尻に響くのよ」

これ全部、整形外科へGO!です。

70代以上になると、圧迫骨折の有病率は約40%とほぼ2人に1人は圧迫骨折を経験します。

【圧迫骨折はこうしておきる】

背景には骨粗鬆症が関係しているのですが、【骨粗鬆症+微弱〜中程度の背骨への刺激】で圧迫骨折となります。

以下の動画を御覧ください。

圧迫骨折の折れ方イメージ

圧迫骨折の折れ方(イメージ)※30秒程度です

A4コピー用紙にゆっくり載せれば潰れませんが、外部から微弱な刺激が加わると、一気に潰れました。
健常者の背骨が「乾パン」だとすると
骨粗鬆症の方の背骨は「ふ菓子」くらい中身がスカスカです。

「ふ菓子」は、外側がやや固めで、中身がスカスカですよね。
実は骨粗鬆症の方の背骨も全く同じ構造をしています。

【潰れ方に順番がある】

まず、中身の方が潰れるように骨折します。この段階では痛みは無く、あっても違和感程度です。
次に、中身の骨折部位が徐々に広がり、外側の部分まで波及した段階で激痛が襲います。

転倒をしていきなり外側まで折れるケースはあまり多くなく、大体は上記の順番に徐々に骨折部位がひどくなっていきます。
つまり、圧迫骨折は進行性の外傷ということになります。

実は中身が潰れた段階で早期に発見でき、安静に生活するよう指導が出来ていると圧迫骨折部位がひどくなるのを最小限に留めることができます。

【なぜ痛みがでるまでタイムラグ(時間差)があるのか】

骨の中身は、神経組織がありません。
骨の外側(骨膜)は、神経組織が豊富です。

例えば、踵の皮をつねっても痛くありませんが、頬をつねると痛いですよね。神経組織の有無が痛みを自覚するかどうかの分かれ目となります。 

なので、骨の中身が潰れただけでは痛みを自覚しない(自覚できない)ので、折れていることに気が付かず日常生活を送ってしまい、痛みを自覚する頃には圧迫骨折が進行してしまっている。という状況となります。

通常、圧迫骨折は2週間かけて徐々に潰れていきます。

【ヒアリングは2週間前まで遡って行う】

利用者さんの腰の違和感、重感、痛みに対しては、圧迫骨折の上記の特徴を踏まえ《2週間前》からヒアリングができるとより精度の高いヒアリングが実施できます。

2週間前から今日まで

・カラダをひねることはなかったか
・尻もちやドスンと座るようなことはなかったか
・何か普段持たないものを持つ機会はなかったか

などを確認し、怪しいなと判断したらなるべく早いうちに整形外科へ受診をするよう勧めてみましょう。

【注意!圧迫骨折のレントゲンは、稀に見逃される】

実は折れた直後はレントゲンで見つけられないケースがあります。(稀です)

状況判断で、これは折れてるよなぁ、、、と思った場合は、ほとんどの場合、やっぱり折れているので、整形外科受診後に大丈夫と思うと判断されても向こう2週間後くらいまでは要観察です。

「もしかしたら痛めているかもしれない。2週間以内に痛みが出たら再度整形外科に受診をしましょう。」

とお伝えしておくと、利用者さんもその後にどう動けばよいか分かるので安心です。

【まとめ】

・痛みが出るまでにタイムラグがあるケースが多い
・ヒアリングは2週間前から行う
・あやしいと思ったら整形外科に受診を促す
・問題がなくても、2週間以内に痛みがでたら整形外科行きましょうと、そのあとの動きを伝えておく

ちなみに、からだアシストでは圧迫骨折後の肩・腰・膝の痛みや違和感の改善に向けた施術が得意です。
圧迫骨折後の骨折部位の「骨自体の治癒」は数ヶ月〜で治っていきますが、周辺組織の拘縮や機能不全は外部からアプローチをしない限りはまず良くなりません。

もしお身体でお悩みの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度、お気軽にお問い合わせください。